2015.10.17
第2回では「なぜ矯正治療では、スペースを作る必要があるのか」をご説明いたしました。
今回は、どのようにお口の中でスペースを作るのかを、具体的にお話したいと思います。
第2回で登場した質問をもう一度振り返ってみましょう。
6人で海に行くことになりました。しかし、車は5人乗りです。皆さんならどうしますか?
1) 車を内側から広げて、6人分のスペースを確保。
2) それまでに、みんなで痩せて詰めあって乗る。
3) 後ろのトランクに人を載せる。
4) 人数を減らす。
※あくまでも例です。
この例えを矯正治療に当てはめると、1)~3)は「非抜歯」でスペースを作る方法になります。
1) 車を内側から広げて、6人分のスペースを確保→ 歯列拡大
歯を前方や外側に移動すると、歯列全体が広がるので、歯を並べるスペースが得られます。
2) それまでに、みんなで痩せて詰めあって乗る→ 歯を少し削って細くする (Interpoximal reduction)
3) 後ろのトランクに人を載せる→ 遠心移動
この様にして、歯を抜かずにスペースを作ることができます。しかし、これらの方法にも短所があります。
例えば、出っ歯の人に1)歯列拡大を行うとより出っ歯になります。歯はキレイに並ぶかも分かりませんが、口元がよりとがってしまいます・・・そうなると1900年代初頭に逆戻りです(第1回コラム 抜歯vs非抜歯の歴史をご覧ください)。2)歯を少し削るにしても、削れる量には限度がありますし、適した歯の形があります。3)遠心移動を行う場合には、奥歯の後方に十分な骨と歯肉が無いと、奥歯は満足に移動できません。
もし、上記3つの方法が取れなかったら?または、それでは十分なスペースを得られない場合には?
その時は4) 人数を減らす、つまり「抜歯」という選択肢を考えることになります。 (つづく)
【抜歯と非抜歯、どちらか良い治療?(第4回)はこちらから】