2016.02.05
「どのようにして、スウェーデン王国公認の矯正専門医になったのですか?」
と言うご質問をよく受けますので、お話したいと思います。
専門医最終試験の合格発表後のパーティーにて (右:院長 石川)
まず、留学に絶対に必要なのは「英語」ですので、今回は英語についてお話します。
1.留学への”最初の壁”
私に立ちはだかった最初にして一番高かった壁、それは’TOEFL’という国際基準の英語能力測定試験でした。
これは、リーディング(読む)、リスニング(聞く)、スピーキング(話す)、ライティング(書く)の4つから構成される試験ですが、イエテボリ大学が求める基準点をクリアしないと願書すら提出できません・・・
TOEFLで出る英単語には、特殊なものがあります。例えば、文学、天体学、地震学などの専門用語です。これらの暗記には、かなりの労力がいりました。
幸い、私は1回目の試験でクリアすることができましたが、毎週日曜日に予備校に行ったり、朝5時に起きて1人でブツブツとスピーキングの練習をしたり大変でした。今では良い思い出です。
また、家族の協力がないとできないことでしたので、奥さんには今でもとても感謝してます。(その態度があまり感じられないと、よく言われますが(笑))
2.なぜ、専門医教育は全て英語?
スウェーデンで行われている専門医になるための教育は、全て英語で行われています。
それは、最新の研究論文や教科書は全て英語だからです。ですから専門用語も、母国語だけではなく英語でも覚えます。他国の先生とディスカッションをする時は、共通言語は英語ですからとても理に適っていると言えます。
さらに、患者さんとのコミュニケーションは、老若男女問わず英語で行われております!
3.スウェーデン人の驚くべき英語力の理由
スウェーデン人の母国語はスウェーデン語ですが、スウェーデン人は、ほとんどの国民が英語を話します。
それは、スウェーデンで見られるテレビドラマが、アメリカのドラマの再放送が多いからだと言われております。しかし、皆さんは「日本でもアメリカのドラマが見られるのでは」と疑問をお持ちになるかも知れません。
人口が900万人の”小さな国”スウェーデンでは、海外のドラマはスウェーデン語への’吹き替え’ではなく、’字幕’で放送されます(吹き替えは字幕よりコストがかかります)。
ネイティブ英語を聞きながら、スウェーデン語の訳が画面にでるので、「ドラマを見る=生きた英語の勉強」になっているのです。
しかし、日本のように人口が多い国では’吹き替え’が主流ですから、海外ドラマを見ても英語の勉強にはなりません。これは、イタリアやフランス、ドイツにも当てはまり、これらの国の人々が英語を得意としない理由のひとつだと言われております。
4.そして更なる壁が!
誰も教えてくれませんが、現地の日常生活で使う”生きた英語”と、試験や教材で学ぶ”死んだ英語”との間には大きなギャップがあります。そのギャップに慣れるのは、また別の壁です・・・
また、’TOEFLで使うアメリカ英語’と’スウェーデンで使うイギリス英語’の間にある発音の違いなどにも戸惑う事もありました。
しかし、無事にそれらの壁を超えると、ワクワクする新しい世界が広がっていますので、他国語を学ぶことは奥が深いものだと改めて思います。
【その2へ続く】