歯周病の治療をする際に、患者様の主訴(一番直したいところ)は、治療が進むにつれて常に変わります。これは、ご自身の健康に興味がある人ほど明らかです。では、どの様に変わるのでしょうか?
1つ目の主訴: 歯周病(歯槽膿漏)治療
患者様が、歯周病で歯を失うと、歯科医師に「残りの歯を何とかもたせて欲しい(主訴1)」と伝えます。歯科医師は、その「主訴1」を改善するために、歯周病治療を行います。
歯周病が改善すると、患者様は満足しますが、ふと違うことが頭に思い浮かびます。
「歯が抜けてしまった所が咬みずらい、隙間が目立って恰好が悪い」
2つ目の主訴: 差し歯(補綴)およびインプラント治療
次に、患者様は、歯科医師に 「抜けた歯のところに”歯”が欲しい(主訴2)」と伝えます。これは、自然な流れです。歯科医師は、差し歯や入れ歯、インプラントを用いて、抜けてしまった歯を補います。患者様は、取り外し式の入れ歯よりも、固定式の差し歯やインプラントを好まれる傾向があります。
さて、新しい歯が入り「主訴2」が改善されると、また違うことが脳裏をよぎります。
「上の前歯の出っ歯、下の前歯のデコボコが気になる。昔はこうでなかった」
3つ目の主訴: 矯正治療
歯周病が進むと、歯並びが乱れることがあります。これを昔の状態に戻す(主訴3)には「矯正治療」しか方法がありません。
歯並びを直すには、多くの場合、スペースを必要とします。(スペースが必要な理由はこちらをご覧ください)
しかし、「主訴2(歯が欲しい)」を改善するために、差し歯やインプラントを入れて、全てのスペースを埋めてしまっていたら・・・
そうです「歯を動かすためスペースはもはや無い」のです。そうすると「主訴3(歯並び)」の改善は叶わなくなり、今まで満足していたはずの治療結果が、突如満足できなくなることがあるのです。